▼目次
1. 親知らず抜歯後、なぜ普通の食事はすぐにできないのか?
2. 親知らず抜歯後の食事の形状と注意点
3.親知らず抜歯後におすすめの食事メニュー例
4. 普通の食事に戻すときのNG食品とその理由
親知らずの抜歯後には腫れや痛みが出ることがあり、「いつから普段通りの食事に戻せるのか」と心配になる方もいるかもしれません。特に、硬いものや刺激の強い食べ物を避けるべき期間は、回復の進行度によって異なります。今回は、親知らずの抜歯後における食事の目安や注意点、回復をサポートする食事メニュー例もあわせて解説します。
1. 親知らず抜歯後、なぜ普通の食事はすぐにできないのか?
親知らずの抜歯後、すぐに通常の食事に戻れないのは、単に「痛み」が原因ではありません。口腔内で起こる生理的な変化と、それに伴うリスクがあるためです。
以下に、抜歯後に普通の食事が難しい理由を解説します。
①血餅(けっぺい)の形成が必要だから
抜歯後の穴には「血餅(けっぺい)」というかさぶたのような血の塊ができ、それが傷を保護し、骨や歯ぐきの再生を促します。この血餅が壊れると、「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になることがあります。
②細菌感染のリスクが高まるため
抜歯直後の傷口は無防備な状態です。食べ物のカスが入り込むことで細菌が繁殖し、腫れや膿みの原因になる場合があります。特に糖分や繊維の多い食材は詰まりやすく、注意が必要です。
③腫れや痛みによる咀嚼困難
抜歯後は頬や歯ぐきが腫れたり、口を開けにくくなる場合があります。また、顎の筋肉にも一時的に影響が出ることがあり、咀嚼力が大きく落ちる可能性があります。無理に食べることで、別の歯や筋肉に過度な負担をかけてしまうケースもあります。
④誤嚥・誤飲の危険
噛みにくい・飲み込みにくい状況では、思わぬ誤嚥事故につながるおそれがあります。術後は感覚も鈍くなっているため、無理は禁物です。
このように「食べたいのに食べられない」には、身体を守るための理由が考えられます。

では、実際にどのようなスケジュールで普通の食事に戻していけばよいのでしょうか。以下のように、回復の段階に応じて、食事内容を変えていくことが大切です。
①術後〜2日目
飲み込むだけで食べられるゼリーや茶碗蒸し、ポタージュなどの流動食を中心にしましょう。冷たすぎず熱すぎないものを選び、塩分や香辛料は控えて刺激を避けることが大切です。
②術後3〜4日目
やわらかい固形食として、おかゆや煮物、スクランブルエッグなどが少しずつ食べられるようになるでしょう。抜歯した側は使わず、反対側でやさしく噛むことがポイントです。
③術後5〜7日目
食欲が戻り腫れが引いてきたら、焼き魚や柔らかいパンなどを少しずつ取り入れてもよいでしょう。ただし、ナッツやせんべいなど硬い食品は避けましょう。
④術後8日目以降
抜糸後の状態が良く、痛みや違和感がなければ、普通食に戻せることが多いです。ただし、食べ物が詰まったり再出血したりする場合は、再び柔らかい食事に戻すことも必要です。
一律ではなく、自分の口腔内の様子を観察しながら進めることも大切です。

親知らず抜歯後の回復をスムーズにし、トラブルを避けるには食事の工夫が欠かせません。以下に、時期別のおすすめ食事メニューを解説します。
①初日(術後当日)
・ゼリー飲料
・常温のポタージュスープ
・豆乳やヨーグルト
食事よりも水分補給を重視する日です。傷口に刺激が少ないものを選びましょう。
②術後2〜3日
・おかゆ
・茶碗蒸し
・絹ごし豆腐のあんかけ
噛まずに飲み込める食材を中心に、味付けも塩分・香辛料を控えたものがよいでしょう。
③術後4〜5日
・煮込みうどん
・温野菜とツナの和え物
・スクランブルエッグ
少し噛む動作が可能な料理を取り入れてみましょう。野菜はやわらかく調理し、繊維が口腔内に残らないよう配慮することが大切です。
④術後6〜7日
・柔らかめのパン
・ひき肉入りのオムレツ
・鮭のムニエル
普通食に近いが比較的歯にやさしい食事を意識し、食材の硬さや温度に注意しましょう。
⑤術後8日以降
・通常の食事への移行開始
一気に戻すのではなく、1日1食ずつ段階的に切り替えるのが理想です。
抜歯後の食事を工夫することが、スムーズな回復につながります。無理をせず、少しずつ進めることが大切です。
4. 普通の食事に戻すときのNG食品とその理由
抜歯後の回復が順調でも、特定の食品や調理法には注意が必要です。以下のような食品は、トラブルの原因となりやすいため気を付けましょう。
①硬い食品
せんべい、フランスパン、ナッツ類などの硬い食べものは、噛むことで傷口に圧がかかり、出血や痛みが再発するおそれがあります。
②粘着性のある食品
もち、ガム、キャラメルなどは、抜歯した部分に引っ付きやすく、治癒中の歯ぐきを刺激する可能性があります。
③刺激の強い食品
辛味の強い料理や、炭酸飲料、アルコールなど刺激の強い食品は、炎症を悪化させたり、治りかけの組織を刺激して痛みを増幅させることがあります。
④熱すぎる・冷たすぎる食品
熱々のスープやアイスクリームなども注意が必要です。感覚が過敏になっている口腔内では、温度の刺激が痛みにつながる場合があります。
⑤食物繊維が多すぎる野菜類
ごぼう、セロリ、アスパラガスなどは、繊維が歯ぐきに絡まりやすく、傷口を傷つけるおそれがあります。
普通食に戻す際は、特に「硬さ」「粘り」「刺激」「温度」「繊維質」の点を意識するとよいでしょう。
5. 名古屋市守山区の歯医者 おばた歯科・矯正歯科 の親知らず抜歯治療
名古屋市守山区の歯医者「おばた歯科・矯正歯科」では、親知らずに関する様々なご相談・診断・抜歯治療に対応しています。
当院では、口腔外科を専門とする歯科医師が院内に常勤しているため、幅広い親知らずの治療を院内で対応いたします。
抜歯が必要なケースから、経過観察が適しているケースまで、精密な診査を通じて、患者さん一人ひとりに合わせた治療をご提案いたします。
<おばた歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療>
①CT完備の精密診断
親知らずの状態を正確に把握するために、レントゲンに加え歯科用CTを完備しています。
安全性と精度を重視した治療のため、歯科用CTで歯の向きや深さ、神経との距離を三次元で確認します。抜歯の必要性やリスクについても、わかりやすい画像を使って丁寧にご説明いたします。
②痛みに配慮した抜歯処置
抜歯が必要と判断された場合には、表面麻酔+局所麻酔を組み合わせて、できるだけ痛みを抑えた処置を行います。リラックスできる環境づくりにも配慮し、痛みへの不安が強い方も安心して治療を受けていただけるよう心がけています。
③専門医による院内対応
親知らずが骨の深くに埋まっていたり、神経に近いなどの難症例に対しても、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。
基本的には外部への紹介に頼らず院内で一貫して対応することで、スムーズな親知らず抜歯治療体制を整えています(症状などによっては大学病院等へご紹介をするケースもございます)。
親知らずは将来の歯列や口腔内環境にも関わる重要な歯のひとつです。当院では、精密な診断と丁寧なご説明を通して、一人ひとりに合わせた親知らず治療プランをご提案いたします。
まとめ
親知らずの抜歯後、普通の食事に戻せる時期は個人差がありますが、おおよそ1週間から10日が目安です。回復に合わせて、段階的に食事を戻すことが大切です。また、適切な食事内容と、避けるべき食品を理解することで、傷の治癒を早め、トラブルを防ぐことが期待できます。
名古屋市守山区周辺で、親知らずの抜歯後の食事に関するお悩みがある方は、おばた歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
監修:医療法人社団 躍心会 理事長 鬼頭 広章
所属学会
国際インプラント学会 ICOI Fellow
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本顎咬合学会 会員
日本デジタル矯正歯科学会 会員
日本臨床歯科学会 SJCD 会員
MID-G 理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH 理事
K-Project 会員
取得資格
USC(南カリフォルニア大学)JAPANProgram 卒業
東京SJCDレギュラーコース修了
OSG(矯正アレキサンダータイポドントコース)修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース
認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会