▼目次
1. 親知らずの痛みは自分で対処できる?
2. 親知らずを自分で抜く方法を考える前に知っておくべきこと
3. 自分で親知らずをペンチ・ヘーベルで抜く危険性と失敗例
4. 時間がないときの応急処置と歯医者を受診するタイミング
「忙しくて歯医者に行けないけれど、親知らずの痛みが辛い…」そんなときに、「自分で抜けたら」と考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、ペンチやヘーベルなどの器具を用いた自己処置は、予想以上に大きなリスクを伴い、歯や周囲の組織に深刻な影響を与えることがあります。今回は、親知らずを自分で抜こうとするリスクや危険性、そして忙しい方でもできる正しい対処法について詳しく解説します。
親知らずの痛みは突発的に現れることもあり、仕事や学業に忙しい方にとっては大きな悩みの種となることもあるでしょう。しかし、時間がないからといって自己流の対応をしてしまうと、かえって状況を悪化させるリスクが高まります。以下に、親知らずの痛みについて詳しく解説します。
①親知らずが痛み出す原因
親知らずが痛む主な原因には、「むし歯」「歯周病」「周囲の組織の炎症(智歯周囲炎)」などがあります。親知らずは磨きにくいため汚れが溜まりやすく、炎症や感染を起こしやすいのが特徴です。
②自己判断での対応が危険な理由
痛み止めの薬を飲む、冷やすといった一時的な対応で済ませてしまうと、炎症が悪化する可能性があります。また、素人判断で抜歯しようとすると、出血や感染、さらなる痛みを引き起こすこともあるため注意が必要です。
③親知らずは抜歯が必要な場合が多い
親知らずは斜めや横向きに生えていることが多く、そのまま放置すると隣の歯を押して歯並びを悪くしたり、顎の骨に影響を与えたりすることもあります。歯科医師の診断に基づいて、適切な処置を受けることが重要です。
④応急処置は限定的なものに留める
痛みが強い場合でも、自己流での抜歯を試みるのではなく、まずは市販の痛み止めの使用や患部を冷やす程度の応急対応にとどめ、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
⑤我慢しすぎないことが大切
忙しさを理由に放置すると、後々より大きな問題へと発展することもあります。違和感を感じたら、できるだけ早く歯科医師に相談しましょう。
⑥親知らず抜歯は計画的な対応が必要
特に、親知らずの根が太い、曲がっている、深く埋まっている場合などは、外科的な手術が必要になるケースもあります。早期に歯科医師に相談し、最適な抜歯計画を立てることが、トラブルを防ぐ鍵になります。
2. 親知らずを自分で抜く方法を考える前に知っておくべきこと
万が一、親知らずを自分で抜こうと考えたとき、まず理解しておくべきなのは「自分で抜くのはリスクが高い」という事実です。以下に、親知らずを自分で抜くリスクについて解説します。
①親知らずは通常の歯よりも抜くのが難しい
親知らずは他の歯に比べて深く埋まっていたり、複雑な形をしていたりすることが多いため、専門的な技術と器具がなければ適切に抜くことはできません。
②強い痛みと大量出血のリスク
歯を無理に引き抜こうとすると、歯ぐきや骨を損傷してしまい、大量の出血を引き起こすことがあります。止血できない場合、命に関わる可能性もあります。
③感染症や重篤な合併症を引き起こす可能性
適切な消毒や衛生管理が行われないまま抜歯をすると、細菌感染を起こし、最悪の場合「歯周蜂窩織炎(ししゅうほうかしきえん)」と呼ばれる重篤な炎症を招くことがあります。
④歯の一部が残るトラブル
素人が無理に抜こうとすると、歯の一部が骨や歯ぐきに残り、後から大掛かりな手術が必要になることもあります。
⑤神経や顎の骨への損傷リスク
親知らずの近くには大切な神経や血管が走っており、誤った抜歯によってこれらを損傷すると、顔面麻痺や顎の骨折といった深刻な後遺症が残る可能性もあります。
⑥歯科医師による診断の重要性
親知らずの抜歯は、レントゲン撮影を行い、位置や状態を正確に把握することが重要です。自分で正確な状態を見極めるのは困難なため、歯科医師による診察が不可欠です。
3. 自分で親知らずをペンチ・ヘーベルで抜く危険性と失敗例
稀ですが、親知らずを抜くためにペンチやヘーベル(歯科用てこ)を使おうと考える方もいるかもしれません。しかし、これは極めて危険な行為です。以下に、その危険性と実際に起こりうる失敗例を解説します。
①ペンチやヘーベルは素人向きではない
歯科用のペンチやヘーベルは、歯科医師が専門的な知識と技術をもとに慎重に使用するものです。力加減や角度を誤ると、歯だけでなく周囲の組織にも深刻なダメージを与える可能性があります。
②骨折や歯ぐきの損傷リスク
無理な力で親知らずを抜こうとすると、顎の骨が折れたり、歯ぐきを大きく裂いてしまう可能性があります。こうした損傷は、簡単には治らず、長期的な治療が必要になることもあります。
③出血が止まらないリスク
器具を使って歯を抜いた際に、太い血管を傷つけると出血が止まらなくなることがあります。場合によっては救急搬送が必要になるケースもあり、大変危険です。
④歯が折れて抜けなくなる失敗例
ペンチやヘーベルで引っ張っても、親知らずが途中で折れてしまうことは少なくありません。この場合、残った歯の根を取り除くために、さらに大掛かりな手術が必要になることがあります。
⑤感染症のリスク
不衛生な器具を使用すると、傷口から細菌が侵入し、深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。特に、顎周囲に広がる蜂窩織炎は命に関わる可能性もあり、非常に危険です。
⑥後遺症が残るケースも
無理な抜歯によって神経を損傷すると、下唇や顎に痺れが残ることがあります。この後遺症は完全には治らないこともあり、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。
4. 時間がないときの応急処置と歯医者を受診するタイミング
どうしても今すぐには歯医者に行けない場合、親知らずの痛みに対して一時的に対処できる方法を解説します。
①市販の鎮痛薬を正しく使う
市販の痛み止めを用法・用量を守って使用することで、一時的に痛みを和らげられる可能性があります。ただし、根本的な治療ではないため、痛みが続く場合は必ず歯科医院を受診しましょう。
②患部を冷やして炎症を抑える
冷たいタオルや氷嚢で外側から頬を冷やすと、炎症や腫れが一時的に和らぐことがあります。ただし、氷を直接肌に当てないようにし、冷やしすぎにも注意が必要です。
③刺激物の摂取を避ける
辛いもの、熱いもの、酸っぱいものなど刺激の強い食べ物は、痛みを悪化させる原因になることがあります。応急処置中は、刺激を避けた食事を心がけましょう。
④口腔内を清潔に保つ
痛みがあっても歯磨きは続けましょう。ただし、親知らず周辺を強く磨くと悪化する可能性があるため、優しく丁寧に磨き、うがいをこまめに行いましょう。
⑤早めに受診するタイミング
以下のような症状が現れた場合は、できるだけ早急に歯科医院を受診してください。
・痛みがひどくなる
・顔や首にまで腫れが広がる
・口が開きづらい、話しづらい
・発熱を伴う
⑥無理に我慢しないことが大切
応急処置はあくまでも「つなぎ」です。痛みが収まっても、親知らずの問題が解決したわけではありません。必ずスケジュールを調整し、歯科医院で適切な診察と治療を受けましょう。
名古屋市守山区の歯医者「おばた歯科・矯正歯科」では、親知らずに関する様々なご相談・診断・抜歯治療に対応しています。
当院では、口腔外科を専門とする歯科医師が院内に常勤しているため、幅広い親知らずの治療を院内で対応いたします。
抜歯が必要なケースから、経過観察が適しているケースまで、精密な診査を通じて、患者さん一人ひとりに合わせた治療をご提案いたします。
<おばた歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療>
①CT完備の精密診断
親知らずの状態を正確に把握するために、レントゲンに加え歯科用CTを完備しています。
安全性と精度を重視した治療のため、歯科用CTで歯の向きや深さ、神経との距離を三次元で確認します。抜歯の必要性やリスクについても、わかりやすい画像を使って丁寧にご説明いたします。
➁痛みに配慮した抜歯処置
抜歯が必要と判断された場合には、表面麻酔+局所麻酔を組み合わせて、できるだけ痛みを抑えた処置を行います。リラックスできる環境づくりにも配慮し、痛みへの不安が強い方も安心して治療を受けていただけるよう心がけています。
➂専門医による院内対応
親知らずが骨の深くに埋まっていたり、神経に近いなどの難症例に対しても、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。
基本的には外部への紹介に頼らず院内で一貫して対応することで、スムーズな親知らず抜歯治療体制を整えています(症状などによっては大学病院等へご紹介をするケースもございます)。
親知らずは将来の歯列や口腔内環境にも関わる重要な歯のひとつです。当院では、精密な診断と丁寧なご説明を通して、一人ひとりに合わせた親知らず治療プランをご提案いたします。
親知らずの痛みは、放置すれば悪化することが多く、自己流で抜こうとするのは非常に危険です。特にペンチやヘーベルを使った無理な抜歯は、重大な後遺症や感染症を引き起こすリスクがあります。時間がない場合でも、応急処置に留め、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
名古屋市守山区周辺で親知らずにお悩みの方は、おばた歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
監修:医療法人社団 躍心会 理事長 鬼頭 広章
所属学会
国際インプラント学会 ICOI Fellow
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本顎咬合学会 会員
日本デジタル矯正歯科学会 会員
日本臨床歯科学会 SJCD 会員
MID-G 理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH 理事
K-Project 会員
取得資格
USC(南カリフォルニア大学)JAPANProgram 卒業
東京SJCDレギュラーコース修了
OSG(矯正アレキサンダータイポドントコース)修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース
認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会