▼目次
1. 親知らずはどこに生える?
2. 親知らず抜歯の必要性とは?
3. 親知らず抜歯によるダメージやリスク
4. 親知らず抜歯治療の診断の流れ
親知らずとは、奥歯のさらに奥に生えてくる永久歯で「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」とも呼ばれます。上下左右、合計4本あるのが一般的ですが、そもそも親知らずがない人や、1〜2本しか生えてこない人もいます。
以下に、親知らずが生える部位とその特徴を解説します。
①上下の一番奥
親知らずは、上下の奥歯のさらに奥に位置し、通常の歯ブラシが届きにくい場所に生えます。特に下の親知らずは骨の構造上、生えるスペースが狭いため、横向きや斜めに生えてくることもあります。
②生えるかどうかには個人差がある
実は、親知らずが「そもそも存在しない」ケースも少なくありません。これは遺伝的な要因や現代人の顎が小さくなったことが関係していると考えられています。
③埋まったままの状態(埋伏歯)で発見されることも多い
親知らずは完全に生えきらず、歯ぐきや骨の中に埋まったままの状態で止まることもあります。この場合は見た目で分からず、レントゲンで初めて確認されるケースもあります。
④骨や隣の歯に押されて変な方向に生えることもある
スペースが足りないと、親知らずは横向きや斜めに生えて、隣の歯を押してしまうことがあります。その影響で歯並びが悪くなったり、むし歯や炎症が発生しやすくなるケースもあります。
⑤片側だけ生えるケースもある
片側だけ親知らずが生えてくることもあり、その左右差が噛み合わせや清掃のしやすさに影響を与えることもあります。
⑥症状が出ないこともある
親知らずが正しい方向に生え、周囲に悪影響を与えなければ、抜歯せずに経過観察とする場合もあります。ただし、定期的なチェックは必要です。
このように、親知らずの生え方や本数には大きな個人差があります。違和感や痛みがある場合は、放置せず歯科医院での検査を受けることが大切です。
2. 親知らず抜歯の必要性とは?
親知らずは必ずしも抜かなければならないわけではありませんが、問題を引き起こす可能性がある場合は抜歯が推奨されることがあります。
以下に、親知らずの抜歯が必要とされる主な理由を解説します。
①むし歯や歯周病の原因になりやすい
親知らずは位置が奥まっているため、歯ブラシが届きにくく、汚れがたまりやすい傾向があります。その結果、むし歯や歯周病になりやすく、放置すると周囲の健康な歯にも悪影響を与える可能性があります。
②隣の歯を圧迫して歯並びを乱す可能性も
親知らずが斜めや横向きに生えると、手前の歯を押して歯並びが乱れてしまうことがあります。特に矯正治療後の方は、歯並びの後戻りを防ぐためにも親知らずの管理が重要です。
③骨や歯ぐきに炎症を引き起こすこともある
一部だけ生えた親知らずの周囲は、細菌がたまりやすく、腫れや痛み、膿が出る「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を起こすことがあります。炎症が進行すると、口が開きにくくなったり、食事や会話に支障をきたすこともあります。
④顎の痛みや違和感の原因になる場合も
埋まった親知らずが顎の骨や神経に触れてしまうと、顎の痛みやしびれが生じることがあります。進行すると、神経障害に発展する可能性もあります。
⑤繰り返し炎症を起こすケースでは抜歯が推奨されることも
一度炎症が起きた親知らずは、同じ場所で何度も症状を繰り返すことがあります。慢性的な炎症は健康にも悪影響を及ぼすため、抜歯することで根本的な解決を目指すことが推奨されます。
⑥矯正や治療の妨げになる場合もある
親知らずがあることで、矯正治療や入れ歯治療がうまく進まないことがあります。その場合、治療計画の一環として抜歯が必要になることがあります。
抜歯の判断は、症状の有無や親知らずの位置、歯ぐきや骨の状態によって異なります。症状がなくても、歯科医院で定期的なチェックを行い、将来的なリスクを見据えて判断していくことが重要です。
3. 親知らず抜歯によるダメージやリスク
親知らずの抜歯は一般的な処置ではあるものの、抜歯に伴うダメージやリスクについて理解しておくことはとても大切です。特に親知らずは埋まっていたり、神経に近い場所にあることが多いため、通常の抜歯に比べて慎重な対応が必要です。以下に、親知らずの抜歯に関する主なリスクと注意点を解説します。
①顎の神経への影響
下の親知らずは、下歯槽神経という重要な神経の近くに位置する場合があります。この神経に触れると、下唇や顎にしびれが出ることがあります。多くは一時的な症状ですが、まれに長期にわたる場合もあります。
②抜歯後の腫れや痛み
親知らずの抜歯後には、一定期間の腫れや痛みが生じるのが一般的です。特に骨を削る必要がある場合や、親知らずが埋まっている場合には、症状が強く出ることがあります。
③ドライソケットのリスク
抜歯後に血の塊(血餅)が取れてしまい、骨が露出して強い痛みを伴う「ドライソケット」という状態になることがあります。これは抜歯後にうがいを強くしすぎたり、喫煙することで起こりやすくなります。
④感染症の可能性
抜歯部位に細菌が入り込むと、腫れや発熱を伴う感染が発生することがあります。清潔な環境を保つことと、処方された薬を正しく服用することが予防のカギとなります。
⑤開口障害や口腔内の違和感
抜歯後に一時的に口が開けづらくなる「開口障害」が起こることがあります。特に智歯周囲炎を繰り返していた方は、炎症の影響で周囲の筋肉がこわばりやすく、回復に時間を要することもあります。
⑥傷の治癒に時間がかかるケースもある
抜歯後の治癒には個人差があり、傷口がふさがるまでに時間がかかることがあります。特に、骨を削っている場合は、回復まで数週間を要するケースもあります。
抜歯には一定のリスクが伴いますが、事前に正しい知識を持っておくことで、不安を減らし適切に対処できるでしょう。
4. 親知らず抜歯治療の診断の流れ
親知らずを抜くかどうかの判断は、歯科医師による診察と画像診断に基づいて行われます。特に親知らずの位置や生え方は個人差が大きく、状況に応じた治療方針の選定が必要です。以下に、親知らず抜歯までの基本的な流れを解説します。
①問診と視診
まずは、親知らずに関する自覚症状や既往歴を確認します。痛みや腫れがあるか、過去に炎症を繰り返しているかなどを問診で把握した上で、口腔内を目で見て状態を確認します。
②レントゲンやCTによる画像診断
視診だけでは分からない部分を確認するために、レントゲン撮影を行います。必要に応じて、三次元的な構造を把握できるCT撮影も行われ、神経や骨との位置関係、埋まり方などを正確に把握します。
③抜歯の必要性とリスクの説明
診断結果に基づいて、抜歯の必要性、放置した場合のリスク、抜歯による影響について丁寧に説明があります。また、抜歯の方法や使用する麻酔の種類、術後の過ごし方なども説明されます。
④抜歯日の調整
炎症が強い場合はその場での抜歯ができないこともあります。そのような場合は、抗菌薬などで症状を落ち着かせてから、改めて抜歯のスケジュールを決めます。
⑤抜歯処置
通常は局所麻酔で行われます。歯の状態によっては、歯ぐきを切開したり、歯を分割して取り出す処置が必要になることもあります。処置時間は30分~1時間程度が一般的です。
⑥術後のケアと経過観察
抜歯後には痛み止めや抗生物質が処方され、翌日または数日後に経過を確認するための再診が行われることもあります。異常がなければ、数週間のうちに自然に傷口が閉じていくことがほとんどです。
このように、親知らずの抜歯は事前の準備と説明、そして術後の経過管理が非常に重要です。不安なことがある場合は、どんな小さなことでも遠慮せず歯科医師に相談しましょう。
名古屋市守山区の歯医者「おばた歯科・矯正歯科」では、親知らずに関する様々なご相談・診断・抜歯治療に対応しています。
当院では、口腔外科を専門とする歯科医師が院内に常勤しているため、幅広い親知らずの治療を院内で対応いたします。
抜歯が必要なケースから、経過観察が適しているケースまで、精密な診査を通じて、患者さん一人ひとりに合わせた治療をご提案いたします。
<おばた歯科・矯正歯科の親知らず抜歯治療>
①CT完備の精密診断
親知らずの状態を正確に把握するために、レントゲンに加え歯科用CTを完備しています。
安全性と精度を重視した治療のため、歯科用CTで歯の向きや深さ、神経との距離を三次元で確認します。抜歯の必要性やリスクについても、わかりやすい画像を使って丁寧にご説明いたします。
➁痛みに配慮した抜歯処置
抜歯が必要と判断された場合には、表面麻酔+局所麻酔を組み合わせて、できるだけ痛みを抑えた処置を行います。リラックスできる環境づくりにも配慮し、痛みへの不安が強い方も安心して治療を受けていただけるよう心がけています。
➂専門医による院内対応
親知らずが骨の深くに埋まっていたり、神経に近いなどの難症例に対しても、口腔外科の専門知識を持つ院内医師が対応します。
基本的には外部への紹介に頼らず院内で一貫して対応することで、スムーズな親知らず抜歯治療体制を整えています。(症状などによっては大学病院等へご紹介をするケースもございます)
親知らずは将来の歯列や口腔内環境にも関わる重要な歯のひとつです。当院では、精密な診断と丁寧なご説明を通して、一人ひとりに合わせた親知らず治療プランをご提案いたします。
親知らずは生え方や位置によって、将来的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。痛みがないからといって放置すると、むし歯や炎症、歯並びの悪化につながることもあります。抜歯の必要性やリスクについて正しく理解し、必要に応じて早めの対応を心がけることが大切です。名古屋市守山区周辺で親知らずにお悩みの方は、おばた歯科・矯正歯科までご相談ください。
監修:医療法人社団 躍心会 理事長 鬼頭 広章
所属学会
国際インプラント学会 ICOI Fellow
日本口腔インプラント学会 会員
日本歯周病学会 会員
日本顎咬合学会 会員
日本デジタル矯正歯科学会 会員
日本臨床歯科学会 SJCD 会員
MID-G 理事
名古屋臨床咬合研究会 NOAH 理事
K-Project 会員
取得資格
USC(南カリフォルニア大学)JAPANProgram 卒業
東京SJCDレギュラーコース修了
OSG(矯正アレキサンダータイポドントコース)修了
ITIインプラントコース ベーシック、アドバンス修了
エキスパートハンズオンCAMLOGコース修了
NOBEL BIOCAREサティフィケート多数取得
インビザライン矯正 ベーシックコース修了
5D アドバンスコース修了
2017年 MID-Gレギュラーコース、マニュアルコース受講
矯正LASコース受講
歯周形成外科マイクロアドバンスコース受講
CSTPC受講
2021年 ODGC (矯正診断コース)修了
アライナーオルソドンティクス6デイズコース
明海大学国際インプラント学会認定コース
ハーバード大学歯学部日本CEコース
認定医
日本デジタル矯正歯科学会
日本顎咬合学会